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2020.11.19

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転がるメディエーターに苔は生えない<オンライン商談会編>

アクセス数: 186

COVID-19の影響で、商談会のあり方がいま大きく方向転換しています。これまでたくさんの商談会を手掛けてきたメディエーターもこの変化には無縁ではいられません。

僕たちはいま、この変化を積極的に受け入れ、新しい形の展示会を具現化しています。そして、オンライン商談会に限りない可能性を感じるようになりました。はたしてその可能性とは!? 今回はwithコロナの時代の商談会についてお話したいと思います。

オンライン商談会は敷居が低い

メディエーターではすでにいくつものオンライン商談会を手掛けていますが、先日はある大きな商談会のお手伝いをしました。この商談会のカテゴリーは食品です。

目的は、日本の食品メーカーとタイ側で日本の食材を扱う商社や飲食店等とのマッチング。さて、この商談会にどれくらいの数の日本企業が集まったと思いますか?

答えは134社。

ちょっとびっくりしませんか?タイでもっとも大きな食品の見本市であるタイフェックスでも、参加する日本企業の数は50社〜60社に過ぎません。その2倍以上もの日本企業が集まったのはオンライン商談会のハードルの低さゆえです。

まず、リモートで参加するので渡航費が必要ありません。商談会に出ても興味を持ってくれるかどうかわからないのに高いコストをかけてタイに行くのはリスクがある–。これまでそう考えていた企業も、オンライン商談会ならコストがぐっと抑えられます。気軽に、というと語弊がありますが、リアルの商談会よりも明らかに参加しやすくなったことは間違いないでしょう。

実物が見られないデメリットの解決策

もちろん、オンラインゆえのデメリットもあります。一つはサンプルを直接見てもらえないこと。リモートなので仕方のない問題ですが、画像や動画だけではやはり本当の商品の魅力や特徴はバイヤーに伝わりません。

この問題をどう解決すべきか。検討してたどりついたのが、製品のサンプルを事前にタイに送ってもらい、いったん倉庫で保管した上で商談会の前にタイのバイヤーに個別配送。バイヤーの手元でサンプルを直に見てもらうという方法です。

これなら食品の味や外見、食感など、商談に必要な要素を事前に確認してもらえます。それどころか、リアルの展示会でぶっつけ本番で商品を見てもらうよりも、バイヤーは商品チェックに十分な時間を割くことができます。おかげで、オンライン商談会では具体的な質問や交渉に入りやすくなりました。

日本企業のITリテラシーは低い!?

解決すべき問題はほかにもありました。日本企業のITリテラシーです。正直なところ、タイの企業の方が日本企業よりもITリテラシーが高いのです。

タイでは仕事のツールとしてLINEがフル活用されていたり、SNSの普及率が世界的に見ても高かったりとオンラインサービスに馴染むのが早い国だと感じています。とりあえず触ってみるというタイ人の気質も相まってかZOOMも難なく普及しました。

そんなタイと比べると日本の企業はあまりITを使いこなしているとはいえません。ZOOMを使ったことがないという企業も少なくないため、僕たちはZOOMを使いこなすためのウェビナーや説明会を開催し、本番の前には個別相談会も開きました。

商談を左右する存在である通訳にも細心の注意を払いました。個別相談会ではできるだけ本番の商談会と同じ通訳を起用し、日本側の意図がタイのバイヤーたちに正確かつ効率的に伝わる通訳を目指しました。

私たちが運営しているオンライン商談会では、日本にいる日本企業、タイにいるバイヤー、そしてタイにいる我々事務局と同じ場所で商談をサポートする通訳の3拠点をつないでいます。

問題を地道につぶしていった結果、回を重ねるにつれ、オンライン商談会の進行はどんどんスムーズになっていきました。当初は、通訳と通訳の間にパーティションを設置したのですが、音の干渉が起きて商談の妨げになったことから、急遽、防音機能を持った同時通訳のボックスを導入しました。これでもう干渉の恐れはありません。

同時に何十人もが一気にオンライン商談会に参加する際のオペレーションもノウハウが溜まってきてました。参加者や通訳の声を取り入れ、オンライン商談会の質は確実に上がってきていることを実感しています。

オンとオフラインを融合した商談会を

もっとも、オンライン商談会のデメリットも見えてきました。参加のハードルが低いため、商談という機会の重みがあまりないのです。リアルの商談会のように、「わざわざ日本から費用をかけてやってきたのだから、なんとしてでも商談を成立させたい」という意欲や「せっかく商談に来たのだかから、何か良い物を見つけたい」という目的意識はやや薄いと言わざるを得ません。これはウェビナーにおいても見られるデメリットです。

オンライン商談会では、同じ空間にいるからこそ可能なコミュニケーションや意思の疎通、空気感がありません。会場で見かけた商品にふと興味を持ったり、参加企業とバイヤーとの会話がたまたま耳に入って関心が募った、といった「偶然の出会い」も期待できない。オンライン商談会ではどうしても型どおりの会話に終始しがちです。

とはいえ、オンライン商談会はいま始まったばかりです。テクノロジーの力だけでは補完できない点も多々あるとは思いますが、改善の余地もまだたくさんあるはずです。僕は、オンラインとオフラインを融合させれば、商談会はより実り多いものになると確信しています。

例えば、いったんオンライン商談会でフィルターにかけた後、リアルの商談会を実施するという形です。国をまたいだ商談会の可能性も感じていますし、商談会で扱う商品のカテゴリーを今後さらに広げていきたいと思います。

現在は食品と日用品を取り扱っていますが、いずれはオンラインでは不向きでは?と思われがちな製造分野や観光分野もオンライン商談会を実施してみたい。昨年から続けているスタートアップ企業のマッチングもさらに強化し、日本のスタートアップにタイの企業が参加もしくは投資する。そんな未来を想像するとなんだかわくわくしてきませんか。

オンライン商談会はすでにメディエーターの柱の一つになりました。この柱をさらに高く太く、しっかりと育てていく。それが、転がりながら進化を続けるメディエーターの目標の一つです。メディエーターがサポートする商談会の新しいカタチにぜひご期待ください!