m-trip「アジア美女の秘密はここにあり!タイと日本を"美"でつなぐ!MEDLINEグループ」 - mediator

Blog m-trip「アジア美女の秘密はここにあり!タイと日本を”美”でつなぐ!MEDLINEグループ」

2017年04月18日 (火)

販路開拓・進出
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2016年12月14日。タイのローカル企業を訪問するmediator主催の人気企画m-trip「アジア美女の秘密はここにあり!タイと日本を”美”でつなぐ!」が開催されました。Milott Laboratories社に続いて訪問したのは、医薬品メーカーのMEDLINEグループです。傘下にあるUnison Laboratories社とFCP社で一同はタイの人々の健康を支える現場を目にしました。ツアー後半をレポートします。

人々の健康を支えるジェネリック医薬品メーカー

次に一行が訪れたのは、MEDLINEグループです。

91年に設立したMEDLINEグループは、主に薬品の製造と輸入販売を行っています。処方薬やジェネリック医薬品、一般用医薬品など100アイテム以上もの薬品をメインに行なっているグループ企業は、現在、主に3つの事業で構成されています。

一つは医薬品の製造。担当しているのは、Unison Laboratories社です。2つ目の事業が生産された薬の販売で、MEDLINE社が担っています。3つ目の事業がサプリメントやスキンケアの製造。この事業を手掛けているのがFCP社です。今回のツアーでは、Unison Laboratories社とFCP社に話を聞きました。

薬を製造しているUnison Laboratories社は1956年設立。錠剤やカプセル、粉末薬や軟膏、座薬などのジェネリック医薬品を手掛け、生産能力は錠剤やカプセルだけでも34億個、粉末薬は5000トン、液体薬は2750トン、座薬だけでも1万4000トンに及ぶそうです。

それだけに人材面も「充実」の一言。現在、社内には薬剤師が38名、化学者は76名、研究開発チームだけで59人もの陣容です。マネージングダイレクターのSUDDHINAI THANESVORAKUL氏は言います。

「QA(品質保証)やQC(品質管理)も103人の体制で臨んでいるんですよ。研究開発に力を入れ、製品のクオリティ追求を徹底していることは当社の持ち味であり、強みです」

取得している認証の数も並大抵ではありません。ISO9001、14001、18001、50001、PIC/x GMP(医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム)。タイのFDAからは3年連続でクオリティアワードを受賞しています。最先端の工場で生産される薬は、国立や民間病院、クリニック、薬局におろされていますが、売上の75%は病院ルートだとか。

SUDDHINAI氏は、タイにおける薬マーケットの現状についてこう言いいます。

「タイで流通している薬の70%は輸入品。ヨーロッパや中国、韓国からが多いですね。タイには薬を新しく作る技術はない。新薬は費用対効果で割が合わないのです。ですから、当社製品もすべてジェネリック医薬品。開示された情報をもとにして製造しています」

薬を一から開発するには莫大な費用が必要です。輸入品を中心に、Unison Laboratories社のような企業が作る高品質なジェネリック医薬品で市民の健康を支える。これがタイの現実的な施策なのです。

高齢化社会を見据えて商品開発

サプリや化粧品を製造しているFCP.CO社にもお話を聞きました。

同社の設立は1996年。自社ブランドだけでなく相手先ブランド(OEM)でも製造を手掛けています。インターナショナルアフェアーズマネージャーのNETRTIP KRISADAPHONG氏によれば、薬とは異なり、サプリはほとんどがタイで生産されているとのこと。健康意識の高まりを受け、サプリは同社の重要品目として位置づけられています。

「最近は10代でもサプリを飲む習慣が生まれています。一種のブームともいえますね。サプリは習慣性が強いので、今後に期待が持てます」

化粧品マーケットについてNETRTIP氏に聞いてみました。

「タイの化粧品市場で強いのは、ヨーロッパのブランドですね。あとはタイのローカルブランドでしょうか。日本が市場で占めるシェアは少ないです」

同社がいま力を入れているのは、シミやニキビが薄くなる効果のあるパーソナルケアタイプの製品です。製品のパンフレットには、「使用前と◯週間の使用後の結果」など詳細なデータとともに写真付きで紹介されていました。

最初に訪問したMilott Laboratories社でも同様の話が出ていましたが、タイでは「いかに効果を感じられるか」が市場での成否を分ける鍵。MEDILINEグループは製薬部門中核にあり、研究開発には多大なコストと人材を注ぎ込んでいます。グループとしての総合力がFCP社の大きな強みなのです。

NETRTIP氏はこんな話もしていました。

「いまはまだ『予防』の発想が薄いタイですが、これから高齢化が進むにつれて、薬やサプリなどを使っていかに病気に備えるかへの関心も高まってくるはずです。高齢化が本格化すれば、例えば、咀しゃくをサポートする薬などの需要も増えてくるでしょう。社会の変化を見据えながら、製品に反映させていきたいと思います」

タイよりもずっと先に高齢化が進んでいる日本。予防のための薬やサプリ、高齢者の生活の質向上に効果を発揮する薬やサプリ。日本にはタイで応用できそうなさまざまなビジネスの芽がありそうです。

しかし、それらを活かすのも殺すのも、入念なマーケット・リサーチであり、MEDEILINEグループやMilott Laboratories社のような高度な技術力を備えたパートーナーではないでしょうか。日本企業の現実に耳が痛くなりながらも、美や健康の領域で日本企業がやれること、やっていくべきことの伸びしろを感じたm-tripツアーでした。

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執筆 三田村 蕗子

ビジネス系の雑誌や書籍、Webメディアで活動中のフリーライター。タイをもう一つの拠点として、タイはじめとするASEANの日系企業や起業家への取材も手掛ける。新しい価値を創出するヒト、店、企業の取材が得意技。コロナ禍で絶たれたタイとの接点をどう復元するか模索中。

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