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Blog mirai campus は日本人とタイ人が笑顔で働くミライを創る 後編

2018年08月18日 (土)

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在タイ日系企業に勤める日本人の問題意識を抽出しよう

2017年の年末から僕たちは、 mirai campus の実現に向けて動き始めました。

タイには、コンサルティングや研修を手掛けているサービスプロバイダーは多数ありますが、それらの多くはタイ人が対象です。

一方、 mirai campus はタイ人向けのコンテンツも考えてはいましたが、メインターゲットは日本人を想定しています。

日本人に参加してもらうためには日本人がいま何に悩み、どんな課題を抱えているのかを知らなければなりません。彼らの抱えている問題意識に響くコンテンツを用意しなければなりません。

そのためには何をすべきか。

僕は年間数十回講演を引き受けています。この講座を受ける際に主催者にお願いをして、必ず事前にアンケートを取らせてもらうようにしました。

アンケートといっても長いものではありません。ちょっとの時間で済むような簡単な内容です。Googleのアンケートフォームを作成し、これを講座の主催者に投げて、事前に記入を呼びかけてもらいました。

さて、何人の声が集まったと思いますか?

なんと合計で500人。大型のセミナーで一度に200人以上のアンケートが集まったこともありました。タイで、これだけ日本人の声が集まったアンケートはあまり例がないと思います。

人材育成のやり方がわからない!?

500人の声は示唆に富んでいました。

回答者の多くは在タイ3年以上で、役職は半数がマネージングディレクター(MD)。現地でのトップ職です。

ただし、来タイ前の役職の40%は課長。日本では課長だった人たちがタイに来るといきなりトップに立つのですから、経営者としての悩みが深くなるのも当然といえば当然でしょう。

年齢はほとんどが40代~50代。日本人駐在員の年齢は最近は若年化する傾向にありますが、アンケートでの解答を見ると40代以上が多数を占めていました。

さて、彼らがどのような悩みを持っていたのか。

多く挙がっていたのは、優秀なタイ人をどう育てていけばいいのか、タイ人の仕事に対する価値観がわからない、タイ人の仕事をどのように管理すべきか、といった内容でした。人材育成にはみな苦労していることがうかがえます。

タイ人に対しての要望も多数寄せられていました。いわく、

自分で考えて課題解決できていない。
タスク管理が不得意。
報連相がなっていない。

これらはある程度予想がついた内容です。

日本の本社がタイの事情をわかってくれない

驚くような解答もありました。

「本社の理解度が低い」という声の多さです。

自分たちは一生懸命やっている、タイで汗水たらして努力して売上をあげようと必死になっている。にもかかわらず、本社はあまり理解してくれない。タイ側の取り組みに関して理解しようともしてくれない。

日本人駐在員たちの心の叫びといえばいいのでしょうか。本社の理解度が低い現実を憂う悲壮感漂う解答を前にして、僕は「少しでも彼らの問題解決に努めたい」という思いを新たにしました。

NBSビジネスミッションでは、「現場に行って、現物を見て、現実を知る」という三現主義に基いてテーマごとに有力なタイの企業を視察し、彼らが何を行い、外国企業に何を求めているのかに耳を傾けてきました。

この機会は非常に有益でした。貴重な機会だったと思います。

しかし、やはりどうしてもその企業のビジネスモデルの紹介が中心となってしまうため、参加者の課題解決にまでは至りません。

今回の mirai campus では、日本人がいま現在抱えている課題の中でも「人材」にフォーカスしてコンテンツを提供しようと考えました。

アンケートの解答のみならず、実際にいま在タイ日系企業でMDとして働く日本人駐在員にもヒアリングを行い、彼らの課題を具体的にクローズアップし、その課題解決につながる講師やスピーカーをピックアップしました。

参加者のニーズを真に満たせるプログラムとは何か、を考えてプログラムを構成したのです。

そうして誕生したのが mirai campus です。

mirai campus が売りたいものは、研修ではない

mirai campus においてもNBSビジネスミッション同様、日経ビジネススクール(NBS)アジアと連携しています。アジアで活躍するビジネスパーソンをサポートすることを目的に研修・セミナーサービスを提供している日経ビジネススクール(NBS)アジアのプログラムを、 mirai campus で提供しています。

日経ビジネススクール(NBS)アジアは日本経済新聞社のグループ内サービスです。

日経新聞が日本で働くビジネスパーソンにとって非常に影響力のあるメディアであることはいうまでもありません。しかし、僕たちはタイにいます。日経ビジネススクール(NBS)アジアもタイから価値ある情報の提供に勤めています。mirai campus と日経ビジネススクール(NBS)アジアは、日本から離れたタイという国から、日本企業や日本経済、そして日本人に貢献したいという気持ちを強く持っているという点で価値観が一致したのです。

今後はサービスプロバイダーのプログラムを取り入れることも検討しています。 mirai campus が目指しているのはナレッジシェアリングプラットフォーム。人材紹介やコンサルティング、研修などを手がけるプロのナレッジを積極的に取り入れていきます。

唐突かもしれませんが、特撮テレビドラマ「秘密戦隊ゴレンジャー」をイメージしてみてください。それぞれ異なるスキルを持つ赤、青、黄、ピンク、緑の5人のゴレンジャーが互いの力を合わせることで敵を倒していくというストーリーです。

タイで働く日本人、日系企業で働くタイ人の悩みは多様化しています。ゴレンジャーのように、高い専門性やスキルを持った人材を mirai campus というプラットフォームに集結させれば、参加者のさまざまな課題を解決に導ける。つまりは「敵」を倒せるのです。

このプラットフォームに参加するのはサービスプロバイダーばかりではありません。日本やタイの政府機関、商工会、さらには金融機関や教育機関も想定しています。

例えば、工場のワーカーにお金の使い方や小口融資についての正しい知識をレクチャーしてもいいかもしれません。日系企業への就職を考えているタイの大学生にぴったりのインターン先を見つける、あるいは日系企業への視察を通して「日系企業で働くことのリアル」を学習する機会を提供するという方向性も考えられます。

そう、僕たちが売りたいのは研修ではありません。

mirai campus を通して僕たちが実現したいのは、日本人とタイ人が笑顔で幸せに働くセカイです。そして両国の経済の発展に貢献できるミライです。

日本企業とタイ企業、日本人とタイ人、課題を抱える人と課題を乗り越えた人、知識と経験を持つ人と知識を身に付けたい人をしっかりとつなぎ、今までにない力、これまでになかった価値を創り出していきたいと思います。

※ヘッダーの写真は、2018年6月に Sansuisha(Thailand) Co.,Ltd.(STC). 様にて実施させていただいたインハウス研修の時の集合写真です。

mediator のすべて」とは?

このブログは、「日本とタイをつなぐプラットフォームになりたい」その思いのもと mediator を立ち上げた代表のガンタトーンが、過去を振り返り、現在をどう過ごし、未来をどうかたちにしていくのか…今の気持ちを素直に表現したブログです。
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執筆 三田村 蕗子

ビジネス系の雑誌や書籍、Webメディアで活動中のフリーライター。タイをもう一つの拠点として、タイはじめとするASEANの日系企業や起業家への取材も手掛ける。新しい価値を創出するヒト、店、企業の取材が得意技。コロナ禍で絶たれたタイとの接点をどう復元するか模索中。

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