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2019.7.2

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日本のスタートアップをタイへ!CEBIT出展に向けた8ヶ月間のジェトロイノベーションプログラム(JIP)。

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2018年10月18日(木)~20日(土)、ASEAN地域では初めてとなるドイツ発の IoT・デジタル技術等に関する国際情報通信技術見本市「CEBIT ASEAN Thailand 2018」(以下、CEBIT)がタイ・バンコクにて開催され、タイでの事業展開を狙う先端企業が世界中から参加しました。 そのCEBITに、日本貿易振興機構(以下、JETRO)主幹の日本発知的財産活用ビジネス化支援事業である「ジェトロ・イノベーション・プログラム」(以下、JIP)を活用した日本のスタートアップ企業7社も出展。Mediatorでは、このCEBIT出展前後8ヶ月間に渡るJIPの全プログラムをサポートさせていただきました。

目次
1. タイ市場を把握し、タイ進出戦略を再考する
2. 現地で見て聞いて学ぶ”生”情報
3. いよいよCEBIT本番。自社サービスの魅力を伝える!
4. 変化が早く厳しい市場でも、チャンスを掴むために

1. タイ市場を把握し、タイ進出戦略を再考する

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JIPでは、CEBIT出展前の企業に対して2つのプログラムを用意しました。

1つ目は、ビジネスモデル構築研修「Boot Camp」です。タイのデジタル産業の現状や今後のポテンシャル、タイの税務・法務・知財を学ぶとともに、ピッチ(ステージ上での投資家へのプレゼンテーション)や商談時に必要とされるビジネススキルを身に付けます。2つ目は、「メンタリング」です。各企業のビジネスプランに適したメンター(専門家)との面談を通じ、ビジネスモデルの見直しと強化、新規顧客の開拓方法、現地ビジネスパートナーの見極め方を学びます。

① ビジネスモデル研修「Boot Camp」

2018年7月18日(水)~19日(木)の2日間、東京都内のJETRO事務所にて、CEBIT出展を目指す日本のスタートアップ企業が集まり、ビジネスモデル構築研修「Boot Camp」を実施しました。このBoot Campでは、タイの現状やスタートアップビジネスに詳しいタイ人有識者3名を日本に招聘し、タイのスタートアップ市場やビジネスモデル構築の際のポイント、ASEANでの事業展開戦略に関する講演を行いました。Mediator代表のガンタトーンもタイ市場の基礎情報をお話させていただきました。

② 各企業の戦略を考える「メンタリング」

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各企業とメンターが1対1で面談を行う「メンタリング」では、Boot Campで有識者として日本へお呼びしたAmarit Charoenphan氏、Shannon Kalayanamitr氏がメンターとして引き続きポートを行いました。

Amarit Charoenphan氏は、タイ初のコワーキングスペースとして有名な「Hubba」を運営する傍ら、タイのスタートアップ企業を支援する様々なサービスを提供しています。また、Google for Entrepreneursのパートナーとして、世界のスタートアップ企業とのネットワーク構築にも取り組んでいる、スタートアップ企業支援のスペシャリストです。近年では、東南アジアで革新的な技術やビジネスニュースを発信するメディア「Techsauce」を開始し、2018年6月には、タイ最大級の国際テクノロジーカンファレンス「Techsauce Global Summit」を主催しています。

Shannon Kalayanamitr氏は、大手投資コンサルティングファーム Pricewaterhouse Coopers、Lehman Brothers、Rocket Internet での業務経験を経て、「MOXY」という女性アパレルのECサイトを立ち上げました。その後、「MOXY」は複数のECサイトを運営する 「WhatsNew Group」と合併し、Kalayanamitr氏はマーケティング部門の役員として同社に参加。現在は、スタートアップ向けのコンサルティング会社「IKIGAI GROUP」 のパートナー(役員)兼投資家を勤めながら、「Gobi Partners」という投資ファンドの会社でベンチャーパートナーとしても活躍しています。

メンタリングでは、メンター2名の専門分野とタイ企業とのネットワークを念頭に、JIP参加企業を2つのグループに分け、2018年8月~10月の約2ヶ月の間に、各企業それぞれ5回の面談を実施しました。面談では、JIP参加の目的、ターゲットとしている顧客のイメージ、商談先の業種を明確にした上で、タイ人とタイ企業に響く自社サービスのPR方法、今後のタイ市場でのビジネス戦略についてアドバイスを行いました。また、CEBIT期間中に実施されるピッチ練習では、プレゼンテーション資料の構成から表情なども含めた話し方・伝え方まで、タイの顧客・商談先に効果的にPRするための指導が行われました。日本とタイでの遠隔面談もありましたが、TV会議システムを使い、Mediatorスタッフが通訳を行いながら日本企業とメンターの間をサポートしました。

Mediatorでは、上記のBoot Campやメンタリングのサポートと並行して、各企業のタイにおける事業展開戦略に適当であるタイ企業の選定、およびCEBIT期間中の商談アポイントメントの調整を行いました。各社様々な業界で展開を目指していますので、商談をオファーするタイ側の企業も幅広く選定が必要になりました。商談をオファーするためにリストアップした企業はおよそ146社。従来の、電話やメールによる打診に加え、タイの各種業界団体や協会の協力も得て、業界団体の公式Facebook等でも告知と集客を行い、最終的にはJIP参加企業1社あたり20社の商談アポイントを取ることができました。

2. 現地で見て聞いて学ぶ”生”情報

約3か月間に渡る準備期間を経て、JIP参加企業が訪タイしました。今回は、CEBITに向けて最終調整を行いながら、タイのスタートアップのエコシステムをより深く理解してもらえるようにエコシステムツアーを開催しました。このエコシステムツアーでは、タイ国家イノベーション庁(以下、NIA)への訪問と、タイで起業した日本人3名によるパネルディスカッションを実施しました。

① タイのスタートアップを支援する「タイ国家イノベーション庁(NIA)」

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NIAは、タイ政府が支援する対象業種の起業家を支援する独立行政法人です。今回は、NIA担当者より、イノベーティブなスタートアップに対する支援の方針や支援プログラム、NIA主催のスタートアップ企業のための展示会「Startup Thailand」について説明いただきました。 NIAの提供するイノベーション開発支援プログラムは、タイ法人のみに適用されるため、JIP参加企業がこのプログラムを受けるにはタイ企業と合弁会社を設立しなければなりません。先進的な技術を持つ日本企業と、現地に適したビジネス戦略、幅広いネットワークを持つタイ企業の連携による、タイをハブとしたASEAN地域での事業展開の可能性についてお話いただきました。

② タイで活躍する日本人起業家から学ぶ「タイでビジネスを成功させるためのコツ」

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パネルディスカッションは、日系コワーキングスペース「MONSTAR HUB」で開催しました。日本を含む世界12カ国21都市に開発・営業拠点を有し、アプリ開発のクラウドソーシングを展開するモンスター・ラボ社が運営しています。バンコク拠点では、スタートアップや起業家、エンジニアに必要な環境が整えられている他、起業家が集まり意見交換ができるコミュニティとして、タイ進出を狙うスタートアップには最適の場所となっています。パネルディスカッションのテーマである「タイでビジネスを成功させるためのコツ(Tips for Startup Success in Thailand) 」のパネリストとして、以下の3名をお招きしました。

・越 陽二郎氏 TalentEx (Thailand) Co., Ltd.(CEO)日本語人材と IT 人材のリクルーティング会社。タイの他ロシア拠点でも、IT 人材を紹介。
・荒金 弘明氏 Donuts Bangkok Co., Ltd.(Managing Director)ウェブサービス開発会社。主にスマートフォン向けソーシャルゲームを開発している。
・松田 励氏 Kokotel (Thailand) Co.,Ltd.(CEO)人気宿泊施設の運営会社。友達が家に遊びに来るようなおもてなしの心で日本レベルのサービスを提供。

パネルディスカッションでは、特に次の2点が印象的でした。1つ目は、日本人が思い描いているタイと実際のタイとのギャップについてです。日本のメディアに取り上げられるのは、首都バンコクの情報に限られ、実際のタイの全体像とはかなりの乖離があると感じていること。また、「市場規模も想像以上に小さい」とパネリストは口をそろえました。2つ目は、日本人的な発想ややり方では全く通用しないということ。タイで直面する課題に対しては、タイ人が一番よく解決策を分かっているため、タイ人の意見や力を頼りにしながら進めていくことが重要とお話されていました。

3. いよいよCEBIT本番。自社サービスの魅力を伝える!

長期に渡り綿密に重ねた準備期間を終え、CEBITでの出展が始りました。 3日間、各社ブースを出展した他、商談会、ピッチ大会に参加。商談会では、事前にスケジュールを組んでいたタイ企業との商談に加え、当日展示を見て興味を持ってくれた企業との飛び入り商談も対応。全社合計で152社との商談を終え、商談スペースには常に人が多く出入りしていました。ブース周辺ではは、タイ企業の診ならず、CEBITに出展していた多国籍企業との交流・意見交換も行うことができました。そして、投資家や有識者の前で行うピッチ大会では、約3か月に及ぶ準備の成果を思う存分発揮。JETROの担当者の方も「全社、最初のピッチとは比べ物にならないほど成長し、非常によかった」とコメントするほど、素晴らしいピッチを披露していました。

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この他、CEBIT最終日の夜は、タイ企業とJIP参加企業とのネットワーキング会「JAPAN x THAI Mashup Startup Party @ HUBBA」を開催。コワーキングスペースを運営する Hubba Thailand の協力の元、「Hubba-To」にてJIP参加者と招待客とで有意義な意見交換をすることができました。

CEBIT終了後も、商談の感触が良かったタイ企業に対してアフターフォローを実施。JIP参加企業3社が再度訪タイし、より詳細な打ち合わせを行いました。

4. 変化が早く厳しい市場でも、チャンスを掴むために

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すでに多くの日本企業が進出しているタイですが、これからタイへ進出を目指す日本企業、特にIT系のスタートアップ企業にとっては、事前の準備をしっかりと整えておくことが求められます。自社事業の方向性や自社製品・サービスの特徴を明確にしておくこと。その上で、タイ市場のニーズをしっかりと調査しておくこと。JIPに参加したスタートアップ企業は、この2点を学び、準備万全でCEBIT出展に臨むことができました。変化のスピードが早く、競争も激しさを増すタイ。しかし、次世代に向けて多くの可能性が扉を開いて待っています。日本企業が東南アジアで新たなチャンスを掴むためにも、これからもサポートを続けていきたいと思っています。