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2017.4.7

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m-trip「アジア美女の秘密はここにあり!タイと日本を”美”でつなぐ!Milott Laboratories社」

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2016年12月14日。タイのローカル企業を訪問するmediator主催の人気企画m-trip「アジア美女の秘密はここにあり!タイと日本を”美”でつなぐ!」が開催されました。今回、訪問したのは、Milott Laboratories Co.,Ltd.(以下Milott Laboratories社)、MEDLINE CO., LTD. グループ(以下MEDLINEグループ)傘下にあるUnison Laboratories Co., Ltd.(以下Unison Laboratories社) 、F.C.P. Company Limited(以下FCP社)の3社。美と健康の現場で私たちは、タイに進出する日系企業の問題点を知ったのでした。果たして、シビアで有益なその内容とは‥!? タイでの事業を考えている方、必見のレポートです。

進出から30年の歴史を持つ化粧品OEM

今回のm-tripツアーで最初に一同が訪問したのは、サムットプラカーンにあるMilott Laboratories社。化粧品業界に詳しい方ならご存知の方も多いかもしれません。化粧品OEM大手のミロット(横浜市)のタイ法人です。

タイの現地企業との合弁で1989年に設立。いまから30年近くも前からタイに進出を果たしていた化粧品メーカーがあったなんて‥。参加メンバーはまずその事実に驚きを隠せません。

日本に2つの工場を設けているミロットにとってタイの工場は3番目にあたります。15万平方メートルの巨大工場は歴史を感じさせる佇まいながら、内部は実に機能的。最新の設備が導入され、2500人もの従業員が働くこの工場では年間3億個、1日あたり100万個の化粧品やトイレタリー製品が生産されています。売上規模は200億円。2008年時のデータではタイにある50万社の中で790位にランクインしていたそうです。まぎれもない大企業です。

案内していただいたマネージャーの石橋カズアキ氏は言います。

「製品のカテゴリーは、トイレタリーやスキンケアがもっとも多くて約60%、次いでメイクが30%、残りが服の柔軟剤や食器用洗剤などの業務用生活用品です。最近は生活用品の伸びがいいですね。自社ブランドはいっさいなく、100%OEMです。輸出が多く、いまでは60%が輸出で、日本向けも多いですよ。単独の国としてはもっとも多く、売上規模は20億円に達しています」

生産地、消費地としても魅力的なタイ

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同社が設立以来、順調に売上を伸ばしてきた理由はいくつもありますが、一つには、タイ人の生活水準が上がり、化粧品の購入単価が伸びていること。また、化粧品の使用年齢の低下も見逃せません。「若い人の利用が増えていますね。彼女たちは韓国っぽいメイクが大好きですよ」(石橋氏)。

また、タイらしい要因としてはSNSの台頭も挙げられます。キュレーションサイト、ランキングサイト、youtube、facebookを使って、タイの女性はコスメ情報を貪欲に収集しています。良いと思えば口コミで評判が広がり、化粧品の売上を押し上げる。タイの強烈な口コミ文化のなせる技といえるでしょう。

供給側としても、タイは非常に魅力的な市場だといいます。

「宗教的な制約がないので、使える化粧品の幅が広いんですね。肌の色がいろいろなのも好要因。まだまだ伸びると見ています」

最近はベトナムやインドネシアなどの新興国が化粧品の生産拠点として存在感を高めていますが、タイには製造拠点として大きなメリットがあります。それは、車や食品メーカーが多数進出しているため、プラスチック樹脂やウレタン素材など、化粧品でも使用する原材料の調達には事欠かないということ。材料が手に入りやすく、しかも安定供給が可能な点は間違いなくタイのアドバンテージといえます。

また、輸入品に関していえば、以前よりも手続きがずいぶん簡素化しているとか。

「昔はたくさんの書類が必要でしたが、現在はオンラインで申請できる。書類もコピーでOKになりましたが、2週間ほどで輸入許可が取れるようになりました」

タイの実情にそぐわずオーバースペックになりがちな日本企業

消費地としても生産地としても有望なタイ。しかし、良いお話ばかりではありません。タイに進出する日本企業に何かアドバイスをいただけますか?こう尋ねると、石橋氏からはやや厳しい言葉が飛び出しました。

「タイ人の肌に合わないモノを持ってこないでほしい、と言いたいですね(苦笑)。日本とタイでは気候も違いますし、化粧品の志向や好みも異なります。例えば、日本では洗顔料はさっぱりしっとり洗い上がるタイプが人気ですが、タイではぬるっとした洗い上がりの方が好まれる。というのは、水シャワーで済ませることが多く、乾燥肌の人が多いからです」

日本ではこの化粧品が受けている、日本ではこの成分が支持されている、と声高に「日本での人気」を訴求しても、タイの実情に合わなければ何の意味もありません。しかし、いまだに「日本のモノならタイで絶対受けるはず」と過信する日本企業は多いようです。

タイ人が化粧品に求めるのは、成分よりも何よりも、まずは使用感と効果。日焼け止めを使ったら肌がすぐに白くなる(白く見える)など、見た目ですぐにわかる効果が好まれます。日本ではあまり受けない香りの強いハンドクリームがタイで人気なのも、五感に強く訴える機能が好まれるから。「これを使えば、どれぐらいの効果がどれぐらいの期間で得られるのか」が重視されるマーケットでは、日本とは異なるアプローチが不可欠です。

石橋氏は、オーバースペックになりがちな日本の傾向にも疑問を呈します。

「日本の企業はどうしても品質を落とせないんですね。例えば、キャップが多少固くて回しづらくてもタイではあまり問題がありません。でも、日本企業はキャップ一つ、容器一つの使い勝手にこだわり、クオリティを落とせない。そのため価格も高くなる。これが、グローバルに展開している企業となると違うんですよ。現地のマーケット事情を見据えて、品質を落とし込むことができる。日本だけでビジネスしている企業との大きな違いだと思います」

細部にこだわり、一つ一つに手を抜かないことこそ、日本のモノづくりの真骨頂。そうした信念にも似た思いが、オーバースペックを生み、コスト高を招き、結果として進出先で思うような成果を出せなくなる。これは化粧品に限った話ではないでしょう。

しかし、向き合う課題がたくさんあるとはいえ、タイが魅力的な市場であることにはかわりはありません。

「タイはASEANのハブです。タイを拠点にすれば、ASEANだけでなく、インドやバングラデシュ、トルコなどへの進出の足がかりもつかめる。タイで売れないものは他の国でも売れませんから、テストマーケットの場所としては最適ですよ」

石橋氏の指摘に耳を傾け、求められている機能や品質を徹底的に吟味するリアルなマーケットリサーチをと行った上でタイに進出すれば、必ず道は拓ける–。そう感じさせてくれたMilott Laboratories社の視察でした。

2つ目の訪問企業 MEDLINEグループに続く→

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三田村 蕗子(ライター):日本のビジネス誌、流通専門誌、ビジネス書を中心に活動するフリーライター。2014年11月、拠点をバンコクに移し日本とタイを行き来する。鋭い視点で、活気づくタイとASEANのビジネス事情を取材している。