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2017.4.26

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m-trip「果物王国!タイの果物の加工食品業界を見に行きます Preserved Food specialty社」

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2016年11月17日。タイのローカル企業を訪問するmediator主催の人気企画m-trip「果物王国!タイの果物の加工食品業界を見に行きます」が開催されました。今回の訪問先は、Preserved Food specialty Co,. LTD.(以下、PFS社)と、Chin Huay Co., LTD.(以下、Chin Huay社)。たわわに実る果物をタイの食品加工メーカーがどのようにして風味を残しながら、果物を新しい「価値」へと仕上げているのか。最新加工技術の現場に触れ、サムットサーコーン県にある果物農園へと足を運んだm-tripの学びと気づきにあふれたツアー模様をレポートします。

乾燥加工のリーディングカンパニー

タイはフルーツ天国。日本で食べると高級品のマンゴーが屋台で惜しみなく安価で売られています。そのほかにも、マンゴスチン、パッションフルーツ、ソムオー、ロンガン、ライチー、パイナップル、パパイヤ等など、ジューシーで美味しいフルーツは枚挙にいとまがありません。

1994年に設立したPFS社は、そんなフルーツを始め、さまざまな素材や料理を乾燥加工している食品総合メーカー。本社屋に足を踏み入れると、一同はなんともいえない香りに包まれました。甘いような、酸っぱいような…。これこそ、PFS社が日々生産している製品の証。同社は、フリーズドライ(真空凍結乾燥技術)、スプレードライ(噴霧乾燥)、エアドライ(熱風乾燥)、ドラムドライ(回転加熱乾燥)、エクストラクション(成分抽出)といった技術に関してはタイにおけるリーディングカンパニーです。

18人の従業員からスタートした小さな会社は、約20年で1000人以上の従業員を抱える大企業へと成長を遂げました。現在は、10年前に着手したスプレードライと、創業当初から手がけているフリーズドライ製品が事業の要となっています。

フリーズドライと聞けば日本人は漠然と製品をイメージできますが、タイではあまり浸透していないとのこと。

タイ バンコク 写真 食品加工 thailand

チーフエグゼクティブオフィサーのSakda Sresangnumさんは言います。

「どういうものだか知っているタイ人は少ない。一般的ではないので、フリーズドライの80%は輸出向けです。そのうち90%が日本向けなんですよ」

日本へと輸出されるフリーズドライ製品のほとんどは、カップ麺のかやくなのだそう。ネギや肉、卵などフリーズドライされたかやく類はカップ麺には欠かせません。ふだん日本で口にしてきたかやくがPFS社製品であることを知り、参加者一同、大盛り上がり。がぜん、親近感が増していきます。

視察の場で提供していただいたフリーズドライのフルーツやグリーンカレーの再現性にも驚きの声があがりました。風味も具の食感がそのままに生かされている–。PFS社の技術力をみなが体感した瞬間です。

スプレードライ製品の中では、コーヒーや紅茶などに使用されるクリームが、PFS社の代表的なアイテム。

「スプレードライは飲料の原料を作るのに向いている技術なんですよ。タイでは、いま、オレンジ色のタイティーに入れるクリームとして当社製品が人気を集め、屋台などで売上を伸ばしています」(Sresangnumさん)。

甘味はタイ料理や飲料におけるキーファクター。タイ人好みのこってりとした甘さやコクの飲料を支えているのがPFS社の製品なのです。

業務用やOMEから、一般小売のオリジナルブランドへ

食品マネジメントシステムのISO22000を始め、HACCP、GMP(適正製造規範)など、製品の安心安全を担保し、クオリティを維持向上していくための認証取得にも熱心なPFS社は、サムットサーコーンの工場以外に、チェンマイにも子会社を設けています。理由は、契約栽培農家から安定して品質の良い原料を仕入れるため。クオリティを重視する同社の姿勢がうかがえる施策の一つです。

長く、業務用や委託生産を手がけてきたPFS社ですが、1年前から「タイシェフシリーズ」などの一般消費者向けのオリジナルブランドを立ち上げ、タイ国内の小売店への卸も始めています。Sresangnumさんは言います。

「日本の方なら誰もが知るブランドのOEM製品も生産しています。おかげさまで好評に推移していますが、今後、お客様の生産技術が変わらないとも限らない。リスクを分散するために自分たちのブランドをスタートしました」

リスク分散を図り、売上の柱となる事業を新たに育成していくため、PFS社はマーケットの変化にも迅速に対応しています。

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例えば、高齢化。同社のメイン市場である日本はご存知のように世界の先頭を切って高齢化の道をひた走っています。しかし、高齢化するからこそ生まれてくるニーズ、高まる志向もあるはずです。

「高齢者向けの製品を作る技術開発も進めています。また、エクストラクション技術で素材の成分を抽出し、それをスプレードライ技術で加工して、サプリメントやコスメを開発も計画していますよ」とSresangnumさん。

タイは東南アジアの中ではもっとも早く高齢化の道を歩む国。日本市場向けに培った技術はいずれは国内市場にも活用できる。PFS社の狙いはそこにもあるのでしょう。

今後の計画について、さらにSresangnumさんに尋ねてみました。

「残念ながらフリーズドライの市場は、国内はもちろん、日本を除くアジアではそう大きな成長は見込めません。当社はハラル認証を得ていますが、イスラム圏の国への輸出は制約が多く、難しい面がありますね。ただし、スプレードライ製品については、ミャンマーやラオス、カンボジアは食生活がタイと似ていて、オリジナルのクリームが需要が高いですから、それらの市場を今後はさらに伸ばしていきたいですね」

時代の波、志向の波、技術変化の波を乗り越えながら業容を拡張してきたPFS社。衛生管理が徹底された同社の工場を後にしながら、日本の食品メーカーを支えている技術の力を実感した参加者一同でした。

2つ目の訪問企業  Chin Huay 社へ続く→

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三田村 蕗子(ライター):日本のビジネス誌、流通専門誌、ビジネス書を中心に活動するフリーライター。2014年11月、拠点をバンコクに移し日本とタイを行き来する。鋭い視点で、活気づくタイとASEANのビジネス事情を取材している。