僕がベンチマークしている企業の顔ぶれ
スタートアップと聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?どんなイメージを持っていますか?
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僕は最近、日本やタイのスタートアップ企業と接することが多く、非常に刺激を受けています。
そうか、こういう人たちがいたのか! うちの会社もこうありたい。
前向きにそう思わせてくれたスタートアップとの接点について、今回はお話したいと思います。社長として僕がベンチマークにしている企業はいくつもあります。その顔ぶれは時代によっても移り変わります。
以前は、カヤックやLIG、チームラボといった会社でした。若手主導で、仕事を面白く刺激的に進めている。そんな彼らに憧れすぎて、一時は仕事よりも面白路線に走りすぎてしまったこともありました(笑)。
幸い、ここ3年ほどでメディエーターの軸足は定まり、組織としてまとまってきました。そしていま僕が注目し、見習いたいと思っている企業は、サイボウズやスタディストといった会社です。
ご存じの方も多いと思いますが、サイボウズは、グループウェア「サイボウズ Office」の、スタディストは、マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」の開発会社。どちらの会社もビジネスモデル自体が秀逸で、勢いがあります。ビジネスアイデアが豊富で、何よりやる気に満ちている点に圧倒されました。
タイを代表するスタートアップとの接点
僕が刺激を受けているのは、日本の新興企業ばかりではありません。実はタイのスタートアップにもずいぶんと触発されました。
きっかけは、JETROが主催で行い、僕たちが現地で運営を努めさせてもらったJIP(ジェトロ・イノベーション・プログラム)です。イノベーティブな技術や製品や知的財産を有する中堅・中小・スタートアップの海外展開を支援する同プログラムを通して、僕はタイを代表する多くのスタートアップと接点を持つことができました。
タイのスタートアップの代表格が、スタートアップの見本市である「テックソース・グローバル・サミット」を運営しているHUBBAです。タイではじめてコワーキングオフィスを立ち上げた創業者のAmarit Charoenphanさんは、フォーブスアジアの「世界を変える30歳未満の30人」にも選出された人物です。
Amaritさんを始め、タイで躍進しているスタートアップと出会い、一緒に仕事をできたことは、とても有意義で貴重な体験でした。メディエーターが組織としてうまく回り始めてきたいま、こうした勢いのあるポジティブな会社と接点を持つことができたのは本当にグッドタイミングだったと思います。
いまメディエーターではサイボウズのグループウエアを使っていますが、それもこうしたスタートアップとの出会いを機に、もっとうちの会社もテクノロジーを取り入れる必要があると痛感したことがきっかけでした。
財閥がスタートアップに近づき始めた
タイのスタートアップの現状について、もう少しお話させてください。
タイではスタートアップが盛り上がりを見せていますが、最近はちょっと異なる動きも生まれています。というのは、タイの財閥系の企業がスタートアップにアプローチしているんですね。
具体的には、ベンチャーキャピタルを使って、スタートアップに出資する財閥企業が増えています。タイの大手企業や金融、不動産会社など、自らベンチャーキャピタルを設立する動きも見られます。
なぜ、超大手企業がスタートアップに近づいているのか。
それは、強烈な危機感のあらわれでしょう。スタートアップはスタートアップで勝手にやればいい。そんなスタンスのままでは、いつか自分たちの足元が危うくなりかねない、意外にその日は近いかもしれないーー。そんな危機意識が財閥企業を動かしているのです。大手が目覚めたらこわい。これはいまタイのビジネスの世界でよく言われているフレーズです。大手が本腰を入れたら鬼に金棒かもしれません。
もともとタイ人は独立志向が高いです。
今年実施された「Employee Perspective 4.0」調査によれば、もし夢がかなうなら「なってみたい職業」として一番にあがったのが「個人事業主」。二番目は上場企業勤務、三番目はスタートアップ勤務でした。
個人事業主といっても、タイ人の間では「ネットショップを始める」というイメージが強いのですが、自分で商売を始めたいと考えるタイ人が多いことに変わりはありません。
そう。タイ人は働くことで自由を手に入れたいという思いが強い。これは、安定志向が強い日本人との大きな違いかもしれません。
「これ」といった印象がない日本のスタートアップ
自分で何かを始めたいという意欲が強く、スタートアップに対して興味や関心を持っている。そんなタイ人が、日本のスタートアップ企業についてどんなイメージを持っていると思いますか?
「イメージはない」という答えが一番ぴったりだと思います。日本のスタートアップと聞いても、ぼんやりとしたイメージしか沸かない、よくわからない、というタイ人がほとんどなのです。
20年ぐらい前なら楽天やライブドアといった企業名が挙がったでしょう。孫正義さんはよく知られている起業家ですが、タイでは投資家として有名です。「これ」といった企業や人物が思いつかない、知られていない。それが実態なんですね。
そして、悲しいことに、日本企業に対するイメージも全体的に落ちつつあります。ちょっとシビアな話になりますが、後編では日本企業がいまどのように見られているかについて触れていきたいと思います。