これまで「メディエーターのすべて」では日本の企業について僕が思うところを遠慮会釈なく、お話してきました。困ったこと、良くない点、問題点。ネガティブな面についても触れてきましたが、今回は、僕が日本企業に対して「ここはすごい」「これは素晴らしい」と思う点を取り上げていきたいと思います。
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というのも、日本企業から学ぶべき点は本当に多いからです。参考にしたい点はたくさんあります。タイの会社はもちろんのこと、当の日本の会社や日本人にも「自分たちはここが優れている」「これが強みなんだ」という点を知っておいていただきたいと思います。
日本とタイの会社はここが違う
日本の企業のここがすごい!をお話する前に、まずは日本とタイの企業の特徴をあげてみましょう。
日本の会社は合意性で動きます。トップダウンで意思決定する会社は少数派。稟議書を回し、おおかたが合意したところでようやく決断が下され、行動へと移ります。
信頼構築のプロセスは、日本の会社がタスクベースなら、タイの会社は人間関係ベース。タスクを達成することで信頼を培っていくのが日本の会社です。一方、タイの場合は、基本的な人間関係を作ることで信頼関係のベースを築いていきます。
時間に対する考え方も違います。日本人は直線的といえばいいのか、非常に硬直的です。タイ人は柔軟で弾力的。悪く言えばちょっとルーズ(笑)。「こうだ」と決めつけずに、フレキシブルに考えて行動します。
共通点も少なくない
上で挙げたように違いはいくつかありますが、似ている点も少なくありません。
例えば、タイと日本はともにハイコンテクスト文化です。いま風にいえば「忖度」でしょうか。
空気を読んで生活し、ネガティブなフィードバックを好みません。ネガティブなことを言いたい場合にはやんわりと伝える。言葉の抽象度が高く、言語にあまり依存していません。
ハイコンテクストとも関連しますが、対立をできるだけ回避する傾向があるのもタイ人と日本人の似ている点です。正面衝突はできるだけ避けたい、真正面からぶつかりあう事態は回避したい。そう考える傾向が強いのです。
階層がある点も共通点ではないでしょうか。もちろんタイでいうところの「階層」と日本の「階層」とはまったく同じではありませんが、クラスが存在することは確かです。
日本人の業務改善から学べること
タイと日本の似ている点、非なる点。これらを踏まえた上で、僕は日本人の業務改善プロセスから学ぶべき点は非常に多いと考えています。
さきほど、日本人は合意志向でタスクベースと述べましたが、これは悪く言えば、判断が遅く、リスクも取らないということです。
でも、逆から見れば、こうも言えます。
情報が隅々に待って行き渡っていて、チームワークが良い。決めたことは責任を持ってやり遂げる。仕事をきちんと最後まで終わらせる。
もちろん、これが行き過ぎるとブラックな労働環境を招いてしまいます。行き過ぎはアウトですが、そうでなければメリットが非常に多いです。
合意志向でタスクベース、時間に対して硬直的な日本人は、チーム内で情報をちゃんと共有した上で仕事を進め、締切を守り、責任もしっかりと果たそうとする。これは、ぜひともタイ人が学ぶべき点だと思うのです。
きちんと仕事を教える文化
日本の会社では「報連相」が徹底されます。「報連相」の重要性は新入社員の時点で叩き込まれます。合意志向かつタスクベースで仕事を進めていくためには「報連相」は欠かせません。
これもまたタイ人が学ぶべき点でしょう。すでにその良さを理解し、体現しているタイ人はたくさんいますが、これはさらに根付かせるべき「日本の優れた企業文化」の一つだと思います。
もう一つ、日本企業の良い点を挙げるとすれば、きちんと仕事を教える文化でしょうか。社員が入ったら、いきなりやらせるのではなく、まずは仕事のやり方、ノウハウを教育する。その環境が整備されています。
日本企業に学び、ぜひともタイの中にも取り入れたい企業文化であり、仕事スタイルではないでしょうか。