MENU
IMG_0045

2019.4.5

user-icon

持続可能な生産への転換。世界最大のツナ缶輸出国の取り組み

アクセス数: 535
2月26日(火)。世界一の生産量を誇るタイのツナ缶業界の実態を知るべく、ツナ缶製造企業を支えるタイツナ産業協会TTIA(Thai Tuna Industry Association)を訪問。その様子をお伝えします!

タイのツナ缶輸出額は、2017年に2兆57億ドルを超え、世界で生産されるツナ缶の約2割を占めています。韓国、台湾、キリバス、パプアニューギニアからマグロを輸入し、タイ国内で加工。完成品の9割を日本や欧米諸国、中東諸国へ輸出。

タイ国内消費は全体の1割未満ですが、人件費が安価であったことや漁獲地域がタイから比較的近く、マグロの輸送費用が抑えられたことから加工地として栄え、1980年代より急速に成長し、2001年には米国を抜いて世界一のツナ缶大国へと上り詰めました。

しかしここ40年の間、地球温暖化と乱獲により、世界の水産資源は年々減少。マグロの数は推計約4分の3まで減少したと言われています。

また、タイでは人件費の上昇により、タイ人従業員の確保が困難を極めています。近年では、周辺国のミャンマーやカンボジアからの外国人労働者がタイの水産加工業に従事していますが、労働環境の未整備や不当な労働契約に加えて、児童労働・強制労働が横行し労働者を搾取していると、欧米の国際環境保護団体や海外メディアによって告発される事態となってしまいました。

こうした負の状況を打開するため、タイのツナ缶製造企業を取りまとめ、持続可能なツナ缶製造への移行と商品の高付加価値化によるタイの水産加工業界のさらなる発展に向けて舵を取るのが、タイツナ産業協会TTIA(Thai Tuna Industry Association)です。

TTIA_tuna3

タイツナ缶業界の 働き方改革

現在TTIAには、26の大手ツナ缶製造企業が加盟しており、タイ政府との間で制度や法律の調整と交渉、労働環境の改善に向けた取り組みの推進、商品の高付加価値化を支援しています。

TIA本部の壁に掲げられている“Sustainability”(持続可能性)や“Human Right”(人権)などの言葉からも、タイのツナ缶産業における労働環境の改善に精力を注ぐTTIAの高い意識がうかがえます。

TTIA理事(Exective Director)であるSupatra氏からは、同協会の主な取り組みについて紹介していただきました。

「TTIAでは、2013年よりタイの労働保護福祉局とILO(国際労働機関)と連携しており、良好な労働実務に関するプログラムGLP(good labour pracitce)をTTIA加盟企業へ推進しています。このプログラムでは、タイの労働法と国際労働基準法の浸透と労働環境の整備、従業員の生活の質の向上、違法な労働の防止を目指ししており、“4つのNOと6つのYES”というGLP原則を掲げているのです。」

4 no 6 yes_TTIA


年に一度は、TTIA事務局員が会員企業を訪問し、従業員へ直接人事制度や労働環境、従業員のライフサイクルについてヒアリングを実施しており、GLP原則に基づいているかを調査しています。

持続可能なツナ缶業界への発展

周知の通り、タイ政府は長期開発ビジョン「タイランド4.0」を掲げており、産業の高度化を包括的に進めるよう取り組んでいます。人件費や原材料の高騰、少子高齢化の進展、グローバル市場での競争激化が急速に進む中で、タイ国は、生産性の向上、商品の高付加価値化による新たな市場の確保を目指しているのです。最近では、今までタイで行っていた単純作業の工程をミャンマーやカンボジア、ラオス等の周辺国へ移行させている企業が増えています。

tuna_TTIA

タイのツナ缶業界においては、既存のツナ缶より付加価値の高いペットフードの生産量が年々増加しており、タイから日本へのペットフードの輸出量は世界全体の39%(2017年)にも上ります。

また、タイ国内でのツナ缶の消費量は全体の1割にも満たず、そのほとんどは海外への輸出です。こうした商品にはグローバル基準を満たした高い品質の商品が求められ、さらなる品質向上にも力を注いでいます。

タイは、豊富な原材料と安価な労働力を生かし、各国の生産・製造拠点として発展してきました。しかし、安価な労働力による大量生産に未来はなく、今、ツナ缶を含むタイの水産加工業は変革を迫られています。「サステイナブル」というTTIAのビジョンのもと、会員企業を支える地道な取り組みによって、世界一のツナ缶製造大国の地位をキープできるのか、今後も注目したいと思います。